がん登録について
当院は宮崎県の地域がん診療連携拠点病院に指定され、患者の皆様のがんの発生率や治療率などを管理しています。2008年より胃がん、大腸がん、肺がん、肝がん、乳がんの登録を開始、2009年より全がん登録を実施しており、がん登録のデータを基に、「部位別性別、部位別年齢別、部位別手術件数、治療前UICC stage、治療情報、化学療法」などの発生率を作成します。がんを征圧するためには、地域がん登録のデータから算出される、がんの罹患数・率、がん患者の生存率などのがんに関する統計値、がん対策・がん予防の立案・評価など、がん医療の向上に欠くことができない大切な資料です。
がん登録には、各医療機関が実施する「院内がん登録」および自治体が実施する「地域がん登録」の制度があります。
1) 院内がん登録
院内がん登録は、施設内で診断・治療を行ったすべてのがん患者についてその診断から治療、および予後に関する情報を集め、個々の患者(腫瘍)ごとに集約して登録します。この情報を使用して、施設のがん診療の向上と患者の皆様への支援を目標に次の事を行います。
(1)施設のがん患者の受療状況の把握
(2)施設のがん患者の生存率の計測
(3)施設のがん診療の企画・評価
(4)がん診療活動の支援・研修
(5)診療患者の継続受診支援
(6)地域がん登録、臓器がん登録への情報提供
2) 地域がん登録
地域がん登録は、ある地域に居住する全住民の中に発生したすべてのがん患者について、診断および初回治療、または死亡に関する情報を、診断や治療に関わったさまざまな施設、あるいは死亡に関する情報を自治体や保健所など多方向から集め、個々の患者(腫瘍)ごとに集約して登録し、次の目的などで使用されます。
(1)地域のがん罹患率の計測
(2)がん患者の受療状況の把握
(3)地域のがん患者の生存率の計測
(4)検診などの予防対策の企画や評価
(5)医療施設への情報サービス
(6)疫学研究
1950年代後半に宮城県、広島市、長崎市でいずれも疫学調査を主要な目的として開始され、以降がん登録を実施する府県は徐々に増加してきました。2002年には健康増進法第16条において、国及び地方公共団体の努力義務として規定され、2013年1月に宮崎県が開始し、全都道府県の登録制度が整いました。
これらの方法で収集されたデータは、全国及び都道府県レベルにおけるがんの発生や死亡の増減傾向の把握及びその原因分析や、都道府県、二次医療圏及び施設レベルにおけるがんの種類毎の治療成績(5年生存率等)の把握やがんの治療法別に治療成績を比較分析する上で役立ちます。このように、がん登録は、がん医療水準の評価及び分析や今後のがん対策を進めるに当たっての極めて重要なデータを収集する手段であり、これら制度の拡充が図られています。
院内がん登録での個人情報
がん医療水準向上に不可欠なしくみであり、個人情報保護法の適応対象外となっています。院内がん登録された情報の 届出と保管は部外者が利用できない病院専用のシステムを使って行われ、情報の外部漏洩がなきよう細心の注意が払われています。
院内がん登録から公表される報告は統計的に処理されたものに限られますので、患者さんの特定はできませんので心配される必要はございません。
・がん診療連携拠点病院の業務としての院内がん登録
→院内がん登録情報の全国がん登録への提供
→院内がん登録による予後調査(地方自治体、国の機関、他の医療機関への照会)
→院内がん登録情報を元にした臓器別がん登録への情報提供