TOP » 病院のご案内 » 当院について » 院長挨拶

院長挨拶

新年のご挨拶

都城医療センター院長
吉住秀之

ついにかねてより懸念されていた2025年問題(団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで 起きる社会構造の変化が引き起こす問題群)の年明けとなりました。 社会保障費は膨らむ一方であり、生産人口が減少するため現役世代の負担も増えるという難問に 対処しつつ病院経営を行ってきましたが、今後さらにこの問題が大きくなっていくことを思うと、 正直なところ年明けにうかれる気分にもなりにくいところです。

介護に充てる費用や労働人口の不足の問題を考えると、医療機関としては、 高齢者の方を治療することはもちろんですが、その後に「元気に」生活していけるように 支援することがなにより大切なこととなります。これは急性期の入院治療を行った病院のみではできません。 かかりつけの医療機関、在宅ケアの担当する医療機関、高齢者のサポートを行う行政機関などと しっかり連携していく必要があります。政府は医療DXの推進を国策として掲げています。 実のある成果を得るためには単に高価なIT機器を装備するのではなく、 地域の医療機関をネットワークで結んで医療情報を障壁なくやりとりする仕組みを 構築しなければなりません。高齢者の住宅環境と同様に、高齢者をとりまく情報環境も バリヤフリーにしていく必要があります。

世界では、戦争、疫病、災害などが起こり、終末論的な言説が駆け巡っています。 確かに先行きの見えづらい時代ですが、視界不良だから何もしないというのでは、 最初から負けているのも同然です。視界不良ならば、今まで以上に周囲に気を配り、 慎重に歩みをすすめればいいでしょう。前進する距離は短くても、立ち止まっているよりも 進歩はあります。こういうときこそ各人が知恵を出し合って協力することが大切ですが、 各人がばらばらでお互いどういうことを考えているのか分からない状況では、 何か質問したり提案したりすることすら躊躇してしまいます。 授業中みんなも理解できていないのに、自分だけが理解できていないのではないかと不安に思い、 質問できない状況にそっくりです。これを社会心理学では多元的無知といいます。 この膠着した状態を破るには、お互いが課題と解決策を共有すること、 提案すれば受け容れてくれるという雰囲気をつくることが大切です。 今年は病院機能評価受審の年でもあります。感染対策でお互いマスクをしていますが、 口は閉じることなく、お互いに相談しやすい環境を作りつつ、病院をさらによりよくするよう アイデアを出して全員で取り組んでいきましょう。



 

更新日:2025.2.1