食物を口から食べることができない場合に、中心静脈という心臓近くの太い血管まで留置したカテーテルから点滴を行い、生命維持や成長に必要なエネルギーや、各種栄養素を補給する方法を中心静脈栄養法(TPN:Total Parenteral Nutrition)といいます。これを在宅で行う、在宅中心静脈栄養患者は、2025年の超高齢社会に向けて増加傾向にあります。当院では、診療看護師を中心に、末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC:Peripherally Inserted Central Catheter)の挿入を行う外来を始めました。
PICCとは
PICCは、通常上腕から挿入する中心静脈カテーテルです。
他の中心静脈カテーテルと比較して、腕から比較的簡単に挿入でき、挿入後の感染のリスクが少なく、カテーテル感染や閉塞が起こらない限り、長期間の留置が可能です。
基本的には1回/週の消毒で、入浴もカテーテルを覆っているドレッシング材の上からラップなどを巻き、カテーテルが濡れないように保護すれば可能です。
PICCの利点
- 長期間治療が必要な場合でも、末梢静脈留置針のように定期的な入れ替えは基本的に必要な いので、何度も針で刺される苦痛がありません。
- 適切な管理を行うと、長期間使用する事ができます。
- 腕から挿入するので、鎖骨や首の付近から挿入する際に発生しうる気胸などの合併症は起こりません。
- 採血も可能です。
PICCの留意点
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長いカテーテルが血管の中に入るので、静脈炎を起こすことがあります。
*温めるなどして様子を見ると解消される場合があります。 - カテーテルが詰まって、使用できなくなることがあります。
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カテーテルは通常シングルルーメンを使いますが、併用禁忌薬などの使用で、ダブル
ルーメンが必要な場合は対応可能です。
※但し、ダブルの場合は自然滴下不可にて輸液ポンプの使用が必要です。
PICCの主な対象患者
- 経口摂取が困難で本人またはご家族が胃瘻やCVポートへの拒否感が強い。
- CVポートによるボディイメージの変化が気になる。
- 一時的な食思不振による輸液で末梢ルート確保が困難である。
- CVポートまたは胃瘻造設を検討している段階での栄養状態の低下予防でTPNを行う。
- 通院や在宅での6日以上の継続した輸液が見込まれる。
PICCの禁忌または考慮が必要な患者
- 機器に関連する感染症、あるいは敗血症を認める場合
- 透析患者またはシャント造設が必要と思われる患者
- 左右の乳房切除後
- 既存の血栓性静脈炎、血栓症
- 挿入部位に放射線治療を行っている患者
- ペースメーカー挿入患者
- 松葉杖歩行患者
- 拘縮が強く、上肢の進展や挙上が困難な患者
- カテーテルの自己抜去の恐れがある患者
| 診察日 |
毎週木曜日 13時~16時(予約制)祝祭日は除く 担当医師 : 呼吸器内科 今津 善史 診療看護師 : 原田 由紀子 |
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| 要予約 |
医療機関様からの予約制となっております。適応患者、禁忌または考慮が必要な患者を確認の上、ご予約ください。 |
| 料金 |
1割負担: 2,500~3,500円程度 ※必要時は採血を実施しますので、別途追加料金が必要になる場合があります。 |
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ご予約・ お問い合わせ 相談窓口 |
国立病院機構 都城医療センター 地域医療連携室 電話 : 0120-411-329(直通) FAX : 0986-26-1893 ※挿入後も、管理方法について電話対応を行います。是非ご相談ください。 |